生活習慣病外来

対象となる方

  • 家庭の血圧測定で135/85mmHgを超えている
  • 健診などで血圧が140/90mmHg以上と指摘された
  • 悪玉コレステロール(LDL-C)が多い / 中性脂肪(TG)が多い
  • 善玉コレステロール(HDL-C)が少ない
  • 尿酸値(血清尿酸値)が高い(7.0mg/dL以上)
  • 以前に痛風発作を発症した
  • 過去に治療を中断した

上記のほかに

  • 塩分 / 脂肪分の高い食べ物が好き
  • 最近太ってきた / いわゆるメタボ体型である
  • 糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、腎臓病、睡眠時無呼吸症候群の診断を受けている

対象疾患について

高血圧

高血圧の大半は生活習慣や遺伝要因による発症する本態性高血圧ですが、他の疾患が原因で血圧が上昇する二次性高血圧があります。高血圧患者さまの10人に1人程度が二次性高血圧であると言われますが、実際にその診断を受ける患者さまはそれよりも少ないのが現状です。
高血圧は長期間治療薬を飲み続ける必要がある生活習慣病であり、その初期段階で二次性高血圧を発見し適切に治療することは極めて重要です。二次性高血圧のの原因となる疾患に対する適切な治療を行うことで、高血圧や高血圧に伴う合併症が改善する可能性が高まります。
高血圧から発見されやすい二次性高血圧として、原発性アルドステロン症や褐色細胞腫などの内分泌疾患、腎血管性高血圧などの血管疾患、睡眠呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)、薬剤誘発性高血圧などがあります。当院では、安静採血や各種検査を行い、高血圧の原因を調べてからその疾患に応じた治療を開始しています。

脂質異常症

総コレステロールの上昇、LDL-コレステロールの上昇、HDL-コレステロールの低下は将来の冠動脈疾患、脳梗塞、死亡と関連し、トリグリセリドの高値も将来の冠動脈疾患、脳梗塞、死亡を予測することが知られています。生活習慣の改善をはじめとした高LDL-C血症への介入試験により、冠動脈疾患が有意に抑制されることが明らかとなっています。
脂質異常症のなかでも、家族性高コレステロール血症(FH)は常染色体遺伝性疾患であり、LDLコレステロールが血液中で高くなり、若いときから動脈硬化が進んで、血管が細くなったり詰まったりする病気です。心臓の血管が詰まれば心筋梗塞を、脳の血管が詰まれば脳梗塞を引き起こします。軽症のケース(ヘテロ接合体と呼ばれます)は300人に1人以上、重症のケース(ホモ接合体と呼ばれます)は36~100万人に1人以上の頻度と言われています。早期に動脈硬化性疾患を発症するため、厳格な管理が必要です。FHは、早期診断、厳格な治療に加え、家族スクリーニングを実施し、早期介入を行うことが若年死の予防につながります。

肥満

「肥満」とは太っている状態であって、疾病を意味するものではありません。肥満であるかどうかは体脂肪量によりますが、体脂肪量をはかる簡便な方法が無いため、指標としてBMI(Body Mass Index)が世界的に広く用いられています。WHOによる肥満の判定基準は、BMI30以上が肥満です。一方、日本ではBMI25以上を肥満としています。これは日本肥満学会が定義した基準で、日本人はBMI25を超えたあたりから、耐糖能障害、脂質異常症、高血圧といった合併症の発症頻度が高まることが理由です。 一方、「肥満症」とは肥満に起因、関連する健康障害を有するか、そうした健康障害が予測される内臓脂肪が過剰に蓄積した場合で、減量治療を必要とする状態のことです。肥満は疾患ではありませんが、肥満症は疾患であり、医学的に治療が必要となります。 以下に肥満症の診断のフローチャートを示します。

肥満の診断

また肥満症に伴う疾患は内臓脂肪蓄積が原因となりますが、内臓脂肪蓄積が主の「脂肪細胞の質的異常」によるものと、皮下脂肪蓄積が主の「脂肪細胞の量的異常」によるものに分けられます。

治療について

患者さまの日常を詳しく知ることが
本質的な治療につながると考えています

健康診断で「血圧が高い」「コレステロール値が基準値より高い」などの結果が出ていませんか? 脳卒中や心臓病などは、ある日突然発症するわけではなく、体重の増加、血糖値・血圧の異常などから自覚症状がないままに進行していきます。生活習慣病は、過食・運動不足・飲酒・喫煙・ストレスなどが主な原因ですので、日々の生活改善とともに、症状に応じて薬などを用いて治療を行います。
また、女性は更年期を過ぎると女性ホルモンが減少するため、高コレステロール血症や骨粗しょう症のリスクが高くなります。高血圧や脂質異常症(高脂血症)をはじめとする生活習慣病は、脳卒中・狭心症・心筋梗塞などの心血管疾患は密接に関係しています。
生活習慣病を予防することは脳や心臓の病気の発症予防にもなります。気になることがあれば、医療機関を受診することが大切です。